職人と共に取り組む珪藻土

設計者と施工者の連携プレ−

質の高い住まい造りを目指し、日頃より技術
の向上と建築知識の吸収の為に設計サイド・
施工サイドの区別なしに語り合っている。
ここでは設計者と施工者の連係プレーでそれ
ぞれのノウハウを生かし新しい素材の表現を
試みている。
新しい表現や新しい素材を扱う時は、当然な
がら設計者も施工者も悩む事も多いが、素材
の持つ性質を研究し、現場に出て、実物大の
現場のエネルギーを感じながら、その表現方
法を一緒に考えてゆく。
その結果、納得のゆく仕事ができた時の満足
感はこの上ないものとなる。
このように現場で得た技術や知識を次の設計
に生かし、更に発展させてゆくと同時に、素
材と表現すべき内容によって対応できる施工
者の組み合わせも考えてゆきたいと思ってい
る。



自然な経年変化

石や木といった自然素材は、たとえ雨風にさ
らされ風化し、苔むしてきてもその素材の美
しさが失われない魅力がある。仮にそれが汚
れていたとしても年月を経た自然素材が美し
いと感じるのは、その素材の持つ無数の色が
重なり合った複合色だからなのだろう。
珪藻土はまさに、そういった複合色を呈して
いる事で、より一層自然さを感じさせている。
住宅は、その土地との深い繋がりを保ちなが
ら竣工後も数十年あるいは百年以上もの長い
歴史を刻んでいく。そのような流れの中で、
珪藻土の外壁は竣工した時が、その素材の持
つ魅力のピークではなく、数十年前から、そ
の環境の中で存在し続けて来たかのような自
然な雰囲気を保ちながら長い年月を経ても増
々、魅力的に変化していってくれることだろ
う。



意匠表現の自由度

珪藻土には、コテ押さえや、ワイヤーブラシ
引き摺り等の表面的な技法だけでなく原材料
の中に桐生砂や、バーミキュライトといった
自然素材を混入したり塗り付けた後の柔らか
い状態で、砂利を投げつけたり、また、埋め
込んだ素材を削りだしたりとデザイナーの思
いのままに表現ができる魅力がある。
珪藻土は、もともと、プランクトンの死骸が
堆積してできた土なので、自邸の外壁では、
波が打ち寄せ引いてゆく時の波打ち際の砂浜
をイメージした珪藻土の表現を試みている。
このように珪藻土の土壁の中に、より自然な
雰囲気を出すために、設計者が自ら、緑化石
、五色石、アンモナイト等を埋め込み、時と
して単調になりがちな外壁にアクセントとリ
ズム感を創り出している。


呼吸する断熱壁

珪藻土はその核の中に無数の細孔を持ってい
て、その空気層のお陰で、モルタル壁の約十
倍という断熱性に優れ、湿気に対して吸放出
を繰り返すといった特性を持っているため、
壁内の結露防止や、室内に使用した時の調湿
、脱臭効果は、他の材料に比較して、ずば抜
けて優れていると言われている。


珪藻土の家に住んでみて

我が家のような古い木造家屋のリフォームに
限らず、新築工事であっても、珪藻土の外壁
は、以前からその土地に存在していたような
自然な雰囲気で仕上げることができる。
リフォーム前は目の前が学校の野球グラウン
ドのため、土ぼこりで悩んでいたが、珪藻土
の壁にしてから全く汚れは感じられず、庭の
黒土の泥跳ねもホースの水で簡単に落ちてし
まう。
そして、家の前を通る人達が、子供から高齢
者まで、大変興味深そうに足を止め、時に手
で触ったりするのを見て大変な手応えを感じ
ている。この壁に刺激を受けて一人でも多く
の人達に土壁の魅力が伝わり、町の環境を考
え直す気持ちが芽生えていってくれることを
願いつつ、日頃の活動の中で・自然との共生
・をテーマに積極的に珪藻土の壁に取り組ん
で行きたいと考えている。


珪藻土:砂浜仕上げ
珪藻土:アンモナイト埋め込みパタ−ン
珪藻土:砂浜仕上げ
珪藻土:砂浜仕上げ(緑化石投げ入れ)
珪藻土スクリーンパネル(意匠登録済み)
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