音楽療法コラム-音楽療法は心理療法です

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音楽療法コラム -Ⅰ-

音楽療法は心理療法です。


WindbarChime1.JPG言葉中心のコミュニケーションを要求される日常生活の中では、なかなか自己表現による充分な満足感が得られないとお感じになったことはありませんか?
カラオケの根強い流行にも、そうした私たちの欲求不満が見え隠れします。
このように、自分以外の人の事も含めていろいろなことを多方面に考えたり配慮したりしなくてはならない生活の中で、少しずつ消耗し、失われていく自己感覚を、嗜好に合った音楽で支えながら確かめていく作業は、コミュニケーションを言語に頼れない方々のみでなく、言語に頼る家族関係・人間関係に疲れてしまった方々にも有効です。

歌うこと、ピアノを弾くこと、環境音楽、CD鑑賞などがお好きなら、ぜひ当工房の音楽療法をお試し下さい。MTN心のおしゃべり音楽工房では、月曜日から金曜日まで、当工房音楽室(1998年7月7日OPEN)、および都内の数か所の障がい者施設や近郊の県の施設、地方の病院、自主グループで、将来の音楽家の卵&ヒナたちや、音楽にやすらぎと癒しを求めて来られる方々、“私の音楽”や“美”を追い求める方、あるいは、乳児から大人まで、さまざまな発達支援や心身の機能の回復・維持を必要とされる方々と、日々音楽を使った対話をしています。
音楽をコミュニケーション・ツールとして扱えるようになることを目指す子どもたちの ピアノや歌のレッスンの他、まだ言葉で自分の事をうまく表現できない段階の子どもたちとのコミュニケーションの為のミュージカル・ワークや、抱えきれないストレスを整理する為に、これを大好きな音楽でという方々や、美しく歳を重ねたいと思われる成熟世代の方々の為のプライベート・セッションなども行っています。

ところで、

音楽療法って余暇活動?
いえ、音楽療法は、心理療法です。

施設で音楽療法を依頼された場合などに、たくさんいらっしゃる職員の方々の中には、音楽療法で新たに発見できたことを生かして、ご利用者の方々への理解をより深めようとされる方と、単に演奏会かコンサートのようなものと思われてしまう方といらっしゃることを伺ったことがあります。

音楽療法は、確かに余暇活動にもなり得るほど楽しい活動ではあります。でも、単なる余暇活動やレクリエーションとは違います。

では、どこが違うのでしょうか。

プログラム案の作成にあたっては、まずできるだけみなさんがお好きな楽曲が選ばれ、その中で、発語、認知力の向上、コミュニケーション技能の向上、対人関係の改善、身体機能の向上・改善、学習意欲の改善、といった、各対象者にとっての音楽療法の目的、目標にアプローチ可能な場所(曲・フレーズ・リズム・楽器の種類・場面・歌詞など)を、曲ごとに音楽療法士が探して計画を立てます。

このため、依頼者がお母さま方や施設、という場合、対象となるお子さんや施設のご利用者様たちにとっては、楽しい時間を過ごした実感の方が強く残り、その治療的な目的はセッション中には殆ど見えないのが特徴です。

けれども、セラピストはその後、対象となる方々と過ごした時間を振り返り、

対象者と音楽療法士(人)、
対象者と楽器(物)、
対象者と小道具(象徴)、

との関係(認知・理解・扱い方・心理状態)について、お母さま、あるいは施設職員の方とセラピスト、最低三者で評価して、そこで起こっていたことについて考えます。

そして、お子さんや患者さんたち、ご利用者様たちの「対象関係」という、母子関係、父子関係、兄弟姉妹関係に始まる一対一の人間関係の持ち方の癖や楽器操作の癖などを分析し、障がいがあればあるほどさらに大切になるコミュニケーションの発達にとって、次に何が音楽療法の中での移行対象となり得るのか、何が機能的な発達を妨げているのかといった、心理的な要因や可能性を見抜くことに努めます。
これが、音楽療法が単なる「余暇活動」や「レクリエーション」ではなく、「心理療法」である所以です。

こどもたちや利用者さんたちにとっては、音楽療法にはあくまで一種のエンターテイメントの要素があり、非日常的な発散などの機会でもなければと考えております。
そうした中でないと、対象者の方々が、ありのままの「自分」を見せてくれないからです。楽しければ、楽曲の好き嫌いなども素直に教えて(表して)くださいます。
好き嫌いは、「選択」という意思の直前にある大事な感覚です。そして、「キライ」に潜む理由には、何かしらその方を理解するための魔法の鍵が眠っている可能性があるのです。

その先にあるもの、これについてはまた、別の機会に語らせていただくことにいたしましょう。

次の音楽療法セッションは、前のセッションで出て来た見解を元に計画されるので、目標に向かってのアプローチには常に継続性があります。もちろん、すぐに結果の出ないこともありますし、見解がズレていることもあり得ます。
それを教えてくださるのはお子さんであり、対象となるご利用者様たちです。

私たち音楽療法士は、月に1回とか、2回とかしか対象となる方々にお会いできませんが、ご家族や病院、施設のスタッフの皆さまは、毎日その方に接して一緒に生活をされていらっしゃいます。
そうした身近な介護者、理解者こそが、その方を育て、リハビリを助け、その方の未来に希望を持ち、その方と過ごす時間の楽しさを笑顔で語ることができるよう、そのための障害となっている小さな杭を音楽とその方との関わりの中で見つけてひっこ抜いたり、溜まったストレスを発散することでストレス反応を軽減したり、ご本人や身近な方が不安に感じている何かを明らかにして、本当に不安なものなのかどうかを検討したりするお手伝いをするのが音楽療法なのです。

中井深雪



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