M邸リフォーム '04年8月末竣工
都内のごく一般的な間取りの3LDKマンションの全面リフォームである。普段は施主のご子息が一人で住んでおり、時折関東近県からビジネスで上京する施主が数日間滞在しては帰るという変動的な暮らしぶりである。設計当初そのマンションを訪れた際は、行き場を失ったモノがただ雑然とあふれかえっている状態で、本来そこにある筈の広がりが十分生かされていないという印象を受けた。施主の要望は「間取りを変えることなく、すっきりした居心地の良い生活」を送りたいこと、更に「単に真っ白けの室内はイヤ。木の素材感を活かし、訪問時は落ち着くことのできる空間を提案して欲しい」という内容であった。まず最初に考えたことは、ご子息1人のときは和室は不要であり、訪問時は和室が必要であるという単純明白な事実であった。そこで和室とリビングの境界を連動引戸で構成し、一人で住まう際は連続的な一室として使用できるようにした。
木質素材の採用にあたっては、白を背景に木製造作部が対照的に浮かび上がるよう配慮した。室内を木で均質に覆ってしまう方法に比べ、予算的にもその有効性は十分あったように思う。素材選定に際してはオイルステインで着色したシナ合板と構造用合板といった比較的安価な2種の素材を場所により使い分けることで、素材間の差異が場所の特質として感じられるよう配慮した。あるひとつの素材の質感というのは、素材そのものにというよりは他の素材とのあいだの差異として立ち現れる、と考えている。
家具や可動間仕切などを主体に新規造作し、その分水廻りは必要最低限の交換、キッチンは扉交換のみ、というコスト上のメリハリを意識することで、結果的にはローコスト、短工期化を図ることができた。







