ナム・ジュン・パイク美術館コンペティション
ビデオアーティスト、ナムジュンパイクの出生地韓国において、氏の作品を中心に世界中のビデオアーティストの作品を展示する美術館の国際設計競技が行われた。パイク氏はビデオ・アートの先駆け的な存在であり、大量に積み上げられたTVモニターから、過剰なほどの映像や音が溢れだすような作品で知られている。最近のビデオ・アーティストたちが主に映像的な効果に傾倒しているのに比べ、氏の作品には一貫として情報メディアや一般社会に対する痛烈な批評が込められている。実際、TVは有益な反面、危険な洗脳メディアでもある。戦場の悲惨な映像は、我々に戦争のリアリティを確信させる一方で、意図的にフレーミングされた出来事の断片は、ブラウン管や液晶モニターを通じ、各国のお茶の間へと分化(=差異化)する。
そのように考えると、大量のモニターが使われるパイク氏の作品は、情報分化の運動を同時に一つの強度的空間(スパティウム)へと共存させる試みとも捉えられる。その手法はさまざまなビデオ・アートが共存する場の提案のなかに引き継がれていった。
アリの巣
提案は部屋ごとに分割された展示空間ではなく、たくさんの展示セルへと枝分かれし、互いに干渉しあうことでたえず生まれ変わるような一つの強度的空間を目指している。パイクの作品の性質上、それはむしろ歓迎されることであると考えた。ガラス越しに見るアリの巣のような何通りもの断片が重なり合い、ひとつの多様体となっている。交錯する光や音により共存するセル同士の様相は絶えず変化し、外部からはひとつの映像装置として鑑賞されるだろう。
■ 構造・規模: S造・RC造 地上3階地下3階建
■ 延床面積: 5223u(1580坪)




